金八先生のサッカーコラム
【不定期企画*kon8連載コーナー】

第5弾

其の壱 其の弐 其の参
其の四 其の五 其の六
第5弾 天皇杯決勝2005編
其の壱
    【2005年1月2日00:45 元旦恒例天皇杯決勝2005年、と女子決勝。】

 みなさま明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 今日の天皇杯決勝などについて報告したいと思います。
 が、まずはその前に行われた全日本女子サッカー選手権の決勝から。決勝のカードはLリーグ優勝のさいたまレイナス対Lリーグ準優勝の日テレベレーザ。実力のある2チームの対戦でした。

 双方立ち上がりからコンパクトなゾーンでの展開。狭いゾーンを意識的に作り、展開することでスペースをうまく創造しながらワンタッチ、ツータッチでパスを回し組み立てていました。

 眠くなってきたので次回本題に入りますが、勝負を分けたのはボールの無いところ、もらうところでの動きの「技術」の差であったと思います。
(ちなみにこれは天皇杯の東京V−磐田のキーワードでもあると思います。)

 では。

其の弐
    【2005年1月3日18:10 続元旦恒例天皇杯決勝2005年、と女子決勝。】

>ボールの無いところ、もらうところでの動きの「技術」の差

 ということで、女子の決勝戦から。

 ベレーザ1点目は得点者荒川選手のボールと追いかけてくるDFの間にうまく体を入れる動きから生まれました。裏に抜けたGKのフィードへの反応も良かったのですが、追いかけてくるDFのブロックするようにやや左へ右足で動かし、その動きでGKも左へつり、次のタッチでGKの逆の右へ冷静に流し込むことができていました。これには代表正GKの山郷の反応しきれませんでした。

 ベレーザ大野選手による2点目は中盤で短くつなぎながらサイドチェンジしているボールの動きとは逆の動きでDFの視野から消える動きから始まりました。その動きを視野に入れアウトサイドで引っかけるように浮き球で裏へフィード。実はそのボールが受け手の身体に近すぎたので、僕は「胸トラして展開するか、ヘディングで落とすか」という選択肢しか浮かばなかったのですが、山崎選手は、ボールの回転と軌道に合わせ、外に開き気味にステップし、視野を確保しながら、左インサイドで内側へトラップ。この受け方が全てでした。この動きでDFを1発で入れ替わり、次のタッチは豪快なミドルシュート。外から中に入ってくるとGKのポジショニングはずれやすいので、これまたGKは触ることのできないファインゴールとなりました。

 長いので続きはまた後ほど。

其の参
    【2005年1月4日12:24 続々元旦恒例天皇杯決勝2005年、と女子決勝。】

 女子の決勝での2点は見所が多いゴールでしたが、試合の方も好ゲームでした。
 後半はさいたまが盛り返し、見事なボレーシュートで追い上げたのですが、ベレーザDF陣を崩すまで至らず。ベレーザのひさびさのタイトルとなりました。

 ボールタッチの柔らかさも注目すべき点ですが、試合各所で「視野の確保」「そのための体の向き」を意識している動きが見られ、十分に参考になりました。

 次回からは天皇杯決勝「磐田-東京V」について書きたいと思います。
其の四
    【2005年1月6日01:04 続々々ようやく天皇杯決勝2005年】

 ようやく天皇杯決勝について。
 アップですが、両チームとも同じようなメニューを行っていました。ここでは述べませんが、興味がある方は昨年のジュビロのアップについての記述をご覧下さい。

 GKのアップはジュビロは昨年と同じようにいろいろな角度からのシュートへの対応、ヴェルディはいろいろなセービング、キャッチングをテーマにアップを行っていました。
 →結果的に後半の名波のFKを弾いたファインセーブはこのアップから生まれた、と言っても過言では無いでしょう。
 →同じようなアップはベレーザも行っていました。ベレーザGK小野寺選手のファインセーブもここから生まれています。たぶん。

 次回からいよいよ試合について。

其の伍
    【2005年1月8日23:47 続々々々天皇杯決勝2005年】

 試合内容ですが、対照的な2チームの試合の作り方も対照的でした。

 ベテランが未だに中心の経験豊富なジュビロと過去の栄光はもうどこかに行ってしまった若手主体のヴェルディ。

 ちょっと焦り気味なヴェルディとおちついたジュビロ。しかしジュビロは落ち着き過ぎでした。スペースを見つけ、走り出すフリーランがあまりなく、それに呼応するように、さらに3枚目が動き出すことがまったくと言って良いほど見られませんでした。

 ボールがあるところでの空回りは見られましたが。

 そんなこんなでジュビロが全く怖くなかった前半、ヴェルディももたもたしていましたが、セットプレーは見事でした。

 得点になったFK以外にも、マークをはずすタイミングにあわせて蹴る!マークをはずしシュートを打つ!!ということがしっかり実践できていたように思います。

 次回は後半。ジュビロのもたつきと、ヴェルディの試合運びについて。


其の六
    【2005年1月26日15:46 ひさびさ続々々々々天皇杯決勝2005年(最終回)】

 前回からずいぶん日が経ちましたが・・・・

 後半について。前半の得点と前半の退場から無駄に盛り上がりすぎたチームの流れを立て直すためにプレー面が良かったが、無駄な警告をもらった選手を下げ守備を意識できるようにしたアルディレス采配は非常に効果的でした。
 ただ漠然と守備固めをするのではなく、ボールを奪ってから最短距離でジュビロゴールへ向かうようなカウンターの意識はすばらしいものがありました。

 ゴールへ向かうために相手に向かっていくドリブルが何度も見られ、それが実際2点目に結びついたところは鳥肌モノでした。ああいったドリブルは参考になると思われます。

 ジュビロは後半選手を入れ替えたのですが、攻めにコンセプトが見いだせないまま過ぎてしまいました。監督がどのようなサッカーを描いているのかが選手に伝わらなかったような印象がありました。中山が入り、ポストプレーでは打開できるのですが、その先がつまる。結局、藤田を入れるまでは崩すまでに至らなかったという印象です。中山と藤田を後半最初から使っていたら、もしかしたら・・・・と思ってしまう今日この頃です。(結果論ですのでずるいのですが)

 このあたりの思い切りの良い(わかりやすい)采配ができたかどうかが勝敗の分かれ目だったのでしょう。

 そうはいっても、今回のヴェルデイ最大の勝因はMF山田(卓)の運動量だと思います。前線へ飛び出したり、DFの裏までカバーリングまでやりたい放題。必要なところでは身体をはって、すばらしいプレーの連続でした。

 いやー元旦から良いゲームを2本もみれて大満足でした。それでは。



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